令和２年度 国保中央病院 病院指標

内科で最も多い症例は、小腸大腸の良性疾患であり、これは、大腸ポリープに対する内視鏡的治療による入院です。２番目に誤嚥性肺炎であり、患者さんの多くが高齢者の方で、重症化しやすいため、長期の入院になることが多くなります。３番目に胆管（肝内外）結石、胆管炎関連の疾患が多くなっております。これは、肝内外の胆管において腫瘍性病変や結石などによって生じた閉塞を改善させるための治療に対する入院です。4番目は心不全であり、心不全とは心臓に何らかの異常があり、心臓のポンプ機能が低下して、全身の臓器が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態をいいます。このように、心不全はひとつの病気ではなく、高血圧、弁膜症、狭心症をはじめとする心臓のさまざまな病気により負担がかかった状態が最終的に至る症候群です。5番目は腎臓又は尿路の感染症であり、尿路感染症は細菌が尿路の出口に侵入し、尿道や膀胱で増殖して炎症が起きる感染症です。また、当院は地域包括ケア病棟を有しており、その病棟で医療を継続しながら在宅復帰を目標にしたリハビリを行っているため、平均在院日数が全国値よりも長くなっています。

小児科の入院は、呼吸器系の感染症が多くを占めています。そのため、DPC病名としてはとしては2番目がのどの奥の咽頭周辺に炎症がおこる上気道炎、3番目がやはりのどの奥の扁桃に炎症がおこる扁桃炎、4番目が気管支に炎症がおきる気管支炎となっており、又もともと喘息の方が呼吸器系の感染症で悪化して入院するため5番目が喘息となっています。又、当科は小児アレルギーセンターを設置しており食物アレルギーが1番多い病名となっています。これは食物アレルギーの患者さんに対して、血液検査、皮膚検査、食物経口負荷試験を行うことで、アレルギーの原因を正確に判断し、不必要な食物を除去しなくてすむようにしたり、誤食によりアレルギー症状を引き起こさないように指導を行うための入院であります。

外科では、足の付け根辺りの筋肉のすき間から、腸などの内臓がすべり出る鼠径ヘルニアの治療のための入院が最も多くなっています。2番目は全国的にも増加している大腸がんなどの治療目的の入院が多くなっています。これら以外には、乳房の悪性腫瘍や、腸管の内容物が肛門側に移動しなくなった状態である腸閉塞、及び大腸の壁の一部が袋状になった憩室という部分に炎症が生じ、腹痛や圧痛等を発症する憩室性疾患等があります。
※なお、10症例未満の区分については件数を計上していません。

整形外科では、高齢化に伴う骨粗しょう症の影響で発症する骨折の疾患が多く、1番多いのは胸椎・腰椎の骨折、2番目に股関節・大腿骨近位部骨折、4番目に前腕の骨折、5番目に足関節の骨折の入院が多くなっております。3番目に多い疾患として下肢の変形でありますが、これは足の親指が小指側に変形し、「くの字」になる状態である、外反母趾の治療に対する入院が多くなっています。また、当院は地域包括ケア病棟を有しており、その病棟で在宅復帰を目標にしたリハビリを継続して行っているため、平均在院日数が全国値よりも長くなっています。

泌尿器科で最も多い症例は、前立腺の悪性腫瘍疑いに対する検査入院が多くなっています。2番目に、腎結石や尿管結石に対して、内視鏡を用いてレーザーで破砕・摘出を行う入院、3番目に、腎臓又は尿路の感染症であり、尿路感染症は細菌が尿路の出口に侵入し、尿道や膀胱で増殖して炎症が起きる感染症です。これら以外には、男性生殖器疾患や腎臓の機能が低下した慢性腎不全に対する入院等があります。
※なお、10症例未満の区分については件数を計上していません。

緩和ケア科では、苦痛の緩和を必要とするすべての患者さまがいつでも良質な緩和ケアにアクセスできることを目指し、緩和ケア病棟だけでなく一般病棟も活用した迅速かつフレキシブルながん患者さまの受け入れを行っています。また、症状緩和が叶えられた場合は、在宅療養への復帰も積極的に支援しています。
※上記は、緩和ケア病棟が満床等により、一般病棟に緊急入院等になった件数を計上しています。
※なお、10症例未満の区分については件数を計上していません。

内科では大腸ポリープに対する内視鏡的大腸ポリープ切除術を最も多く行っております。次いで、胆石や悪性疾患による閉塞性黄疸に対して行われる内視鏡的胆道ステント留置術や出血性潰瘍に対する緊急内視鏡による止血術、及び総胆管結石を取り除くために行われる内視鏡的乳頭切開術が多くなっております。これら以外には、直接胃内にチューブを挿入することにより、胃に液体の栄養剤や薬剤を直接注入する道を作る胃瘻造設術等も行っています。
※なお、10症例未満の区分については件数を計上していません。

外科では、鼠径ヘルニア手術を最も多く行っております。次に多いのは、腹腔鏡下胆嚢摘出術です。これら以外には、がん患者さんの胸水・腹水を一度抜いて、自己タンパク質、アルブミンなどを濃縮して、点滴で体に戻す、胸水・腹水濾過濃縮再静注法や結腸がんに対して行う結腸切除術、及び虫垂炎や消化管穿孔などの炎症が腹部全体に波及した汎発性腹膜炎に対する手術等を行っています。

整形外科では、大腿骨の骨頭を取り出し人工骨頭という人工物に入れ替える手術である人工骨頭挿入術を最も多くなっております。この手術は、大腿骨の骨頭付近の骨折に対して、折れた骨がずれたり、受傷してから時間が経った場合など骨をつなげることが難しい症例に対して施す手術になります。2番目から4番目は大腿骨、前腕骨、鎖骨の骨折観血的手術であります。これらの手術はギプス固定では治癒が難しい症例に対して施す手術であります。5番目は骨折の治療の際に埋め込んだ金属プレートを取り出すための手術である骨内異物除去術であります。

泌尿器科では、経尿道的尿路結石除去術が最多となっております。経尿道的尿路結石除去術は、尿道から内視鏡を挿入して直接結石を確認しながら、レーザーを用いて破砕する手術であります。これ以外には、血液透析を継続的に行えるように血液透析用の血管を作成する内シャント造設術、尿管が結石片のつまりなどにより尿管がふさがらないように行う経尿道的尿管ステント留置術、尿道から内視鏡を膀胱へ挿入して膀胱内の腫瘍を切除する膀胱悪性腫瘍手術、包茎手術等を行っています。